過去を振り返る回想法とは?

過去のことを思い出してもらいながら、当時のことを話してもらう心理療法のことを回想法といいます。認知症の人によく見られる行動として、同じ話を繰り返すことが挙げられますが、介護をしていると同じ話を聞かされる度に、うんざりする人もいるでしょう。しかし、過去のことを思い出すことは、脳への刺激になり、精神的にも安定するといわれています。したがって、今では認知症のリハビリや予防の一環として、回想法が注目されています。

ところで、回想法を実践する時には、まず会話の軸になることを考えておく必要があります。認知症の方のプロフィールや好物、人間関係などを事前に調査して、その中から話すテーマを決めますが、なるべく本人がスムーズに話せる内容のものを選ぶことがポイントです。そして、実践する時には、負担にならない程度に話してもらうようにしましょう。高齢ともなれば、配偶者や友人の死を経験していたり、子供たちの自立によって孤独を感じているかもしれません。思い出すだけで辛くなることも十分考えられるので、無理強いをしてはいけません。本人が話したい内容を、自分のペースで話してもらうことが大切です。そして、もしも途中で言葉に詰まったり、表情が曇ってしまったら、早めに話を切り上げましょう。

ちなみに、回想法では、話を聴く側も気をつけなければならないことがあります。それは、相手の話の内容を否定はしないことです。正確な記憶ではなくても、本人は一生懸命伝えようとしてくれているはずなので、疑問に思うことや違和感を感じても、質問をしたり、意見を挟まないようにしましょう。